伊勢角屋麦酒ブログ

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連載 伊勢角屋麦酒20年 その1 序章

心地よい秋風が通り抜ける社長室での朝。

ふと、今年20周年を迎えた伊勢角屋麦酒の悪戦苦闘・紆余曲折の歴史を文章で残しておきたいと思いたち、ならばこの際ブログで連載してみようかと考えた。
まともな文章も書いたことのない私が、連載に耐えうるものが書けるのかどうか。
まして、飽きっぽい私が、果たして今日までのことを書き上げることができのかどうか、我ながら甚だ心もとない限りであるが、まずは、はじめてみたい。
もし、近い将来、20年の歴史を書き上げることができれば、読者の皆さんには、どうか、ささやかな拍手を送っていただきたいと願う。

序章
先日、当社で品質管理を担当している佐々木君と夜ふけまで実験室で話し込んだ。
かれは、現在、当社のクラフトビール部門に所属するブルワーであり、品質管理の責任者でもある。
広島大学大学院で醸造学を学び、卒業後は清酒メーカーである日本盛で開発を行っていたが、彼は当社のある三重県伊勢市の出身であり、また、大のクラフトビール好きということもあって、以前から当社に転職希望であることは聞いていた。
たまたま、この夏、前任者の金澤春香が結婚退職することになり、後任として入社してきたのである。
入社後はそのまじめで朴訥な人柄で、スムーズに当社に溶けこみ、28歳と若いものの、学歴・職歴ともに一貫してお酒の研究に関わってきた典型的理系人間であることから、私のちょうど良い相談相手になっている。
私は、もうかれこれ30年も昔のことだが東北大学農学部で海洋性プランクトンの研究をしていたことがある。
卒業後、家業の餅屋を継いでからはしばらくは微生物の世界とは離れていたが、クラフトビール事業を始めてから改めて酵母という微生物に関わるようになり、今年、野生酵母の商業利用に関する研究で博士号(学術)をいただいた。これまた、自他ともに認める理系人間である。

その夜、乳酸菌コンタミのより確実で簡便な検査方法や、ビールの水質の調整方法についてのいくつかの議論を交わした後、彼にひとつ頼みごとをした。
麦汁(ばくじゅう)を入れて滅菌したバイアルを多数つくって置いてもらうよう頼んだのである。
麦汁とは醗酵前のビールのことであり、麦汁の中の糖分を酵母が栄養源にして醗酵して、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解することでビールができるのである。
今、野生酵母について新たな取り組みを考えており、その下準備を彼に頼んだのである。

2017年27日 朝

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