社長ブログ

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ビールがウイルスに効く可能性があるのか

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Xanthohumol inhibits PRRSV proliferation and alleviates oxidative stress induced by PRRSV via the Nrf2–HMOX1 axisというタイトルの論文がある。ホップの中のキサントフモールという物質が、家畜に厄介な呼吸器疾患を引き起こすPRRSVの増殖を抑える効果があるという論文である。

 

このPRRSVと新型コロナウイルスを含むコロナウイルスは、国際ウイルス分類委員会(ICTV)の分類体系によると、同じ第4群 (Group IV) に属する。第4群とは遺伝子は1本鎖RNAであり、そのRNAはmRNAとして作用するものである。専門外の方には、また、呪文みたいになってきたと怒られそうだが、ざっくりいうと、ウイルスの分類は、まず、その遺伝情報をどういった形で持っているかによって分類される。遺伝情報は、DNAかRNAで持つものしか今のところ発見されていない。(もし、私に誤認があればご指摘いただきたい。)大半の高等生物は、分子構造上堅牢に保持される二本鎖DNAの形で、遺伝情報を保持し、必要に応じてその情報をRNAなどに転写して、情報を移動し、そこから情報を翻訳してタンパク質の合成を行うのだが、ウイルスのように生物とも無生物ともつかない連中になると、不安定な1本鎖RNAで情報を持っている連中もいる。この一本鎖RNAグループにも実は2系統あるのだがそこに踏み込むと一部の方にはもはや寿限無の世界になりそうなので今回は割愛する。

 

何が言いたいかというと、沢山あるウイルスの分類の中で、今回、ビールに必ず使われるホップの成分のキサントフモールがその増殖を抑えることが判ったPRRSVと、今、世界中に災厄を振りまいている新型コロナウイルスは、似た連中だということであり、ひょっとすると、あくまでひょっとするとだが、キサントフモールが新型コロナウイルスに効くかもしれないということである。

 

本当に人に対してホップの利いたビールを飲むことが新型コロナウイルスの抑止になるかどうかは、これだけでは全く分からない。ただ、可能性だけはあるのであろう。将来、IPAはこうしたウイルスに対して、強い薬効作用があるなんて発見された面白いなと妄想したりする。

 

伊勢角屋麦酒
代表取締役社長 鈴木成宗